NHK大河ドラマの第1作目は、井伊直弼を巡る物語『花の生涯』
1963年に放映されたもので、残念ながら私は観ていない。
わたしのこと
井伊直弼の生涯
井伊直弼は、彦根城の目の前にある埋木舎(うもれぎのや)という小さな屋敷で、人生の3分の1を過ごした。
巡り巡って、藩主となり大老となり、雪降る朝に水戸脱藩浪士によって首を斬られてしまう。
真っ白で無垢な部屋住みから、赤備えの家臣として幕府を守ろうと必死に生きた、井伊直弼。
彼をたとえるなら、一体どの花なのだろう。
忌み嫌われた、椿の花
春の訪れを知らせる、椿の花。
寒さに耐えて鮮やかに花開き、ポトリと落ちる。
散る様子はまるで斬首だと、江戸時代には忌み嫌われていた。
椿の花と茶道
私は、遅咲きの大老・井伊直弼を知ろうと、滋賀県彦根市を訪れた。
居所『埋木舎』でまだつぼみの椿だった彼は、茶道を愛し、この花をどう捉えていたのだろう。
花の生涯
椿でもうひとつ。『花の生涯』に登場するヒロインは『村山たか』という。
この人物ならば、私にも聞き覚えがある。
井伊直弼の歴史のひとつ、安政の大獄を蔭で支えた女スパイの名前だ。
椿姫
また連想してゆき‥『椿姫』というフランス小説がある。
高級娼婦が青年の誠実さに惹かれ、2人は結ばれる。
彼女は愛を知り、青年の将来を守るために身を引く。
そして青年に対する愛を死ぬまで貫く。
村山たかを高級娼婦、井伊直弼を青年に見立てた、椿の花。
村山たかとは
『村山たか』には、他にも『可寿江(かずえ)』『加曾閉(かそべ)』の名がある。
彼女の自筆に「可寿江 53歳」とあるので『たか』とは井伊直弼による愛称かもしれない。
近江の多賀大社に所縁がある。
村山たかへの恋文
近年見つかった井伊直弼の恋文『たか』と含めた和歌を詠んでみよう。
名も『たか』き 今宵の月はみちながら
君しをらねハ 事かけて見ゆ【超訳】君と見る十五夜は美しかった。
けれど今は、見る月も日常も欠けてみえる
井伊直弼が埋木舎に入ったのは、1832年。
恋文は、この10年後に書かれた。
27歳になった部屋住みは愛人に宛て「寂しい」との心情を綴っていた。
直弼とたかの関係
三味線と茶道・華道に通じ、和歌を嗜み、美貌と教養を兼ね備えた、村山たか。
6歳年下の井伊直弼をたちまち魅了する。
私は、疑問に思った。
「井伊直弼はなぜ、たかを側室にしなかったのか?」
独学ながら歴史を辿ってゆくと、中年になっても離れられぬ!と縁を繋ぎ続けた2人に見える。
井伊直弼が藩主になった後には引き取れぬはずなどない。
彼は他に町人の娘を側室として迎え入れてるし、芸者を側室にするなら養女にしてしまえば良い。
禁断の恋
私はこのような仮説を立て、考えてみた。
なぜ? なぜか…井伊直弼よりも上の立場の者が阻むのか。
なるほど、おそらく「源氏物語」に通じるものがあったのだろう。
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