【沖縄県糸満市】戦争と向き合う② 百田尚樹『永遠の0』⑴ / 藤井一、特攻隊、沖縄戦、戦争史跡 2023年5月15日

旅行と歴史

わたしのこと

東京で、タクシー乗務員をしております みやび と申します。

戦争と向き合う、このひと月。

関心を持つキッカケとなった1冊をご紹介いたします。

小説『永遠の0』のモデル

※ネタバレあり

映画化もされ、大ベストセラーとなった『永遠の0』

この作品のモデルは何人か居ますが、私としては主人公の宮部久蔵は、藤井 一 (ふじい はじめ) 少佐が一番近いんじゃないかと思います。

藤井少佐は、軍の中で指導員(教官)をしていました。

特攻作戦が開始される前から教え子に「事あらば敵陣、或いは敵艦に自爆せよ、この藤井もかならず行く」と説いていた藤井少佐。

戦況悪化から始まった特攻作戦によって、大切な教え子たちが十死零生の特攻隊員として、教えの通り確実に死んでゆくのです。

教官である自分は、のうのうと生きている。藤井少佐は悩み続けます。

「自分の教えを守って、教え子たちは次々と敵艦に突っ込んで行く。この将来ある純粋な若者達を死地へ送り出す自分は、未だ約束を果たせていない‥」

そもそも、熟練の軍人を育てるまでには時間もお金もかかり、そんな余裕は当時の日本にありません。敵艦に突っ込ませるだけの使い捨て要員として、軍に選ばれた少年たち。

「お前たちだけを死なせないぞ!」

こうして、藤井少佐も特攻を志願しますが、妻子の居る身であり、負傷兵でパイロットでもないため、軍に認めてもらえませんでした。

特攻に志願したことを知った妻・福子は、夫を説得します。一方で、自責の念に駆られて死にたがる夫の決意も、誰より分かっています。

妻は夫の決意を尊重し、3歳の長女と、1歳に満たない次女に晴れ着を着せて、厳寒の荒川に身を投げてしまうのです。

「私たちがいたのでは後顧の憂いになり、 思う存分の活躍ができないでしょうから、一足先に逝って待っています」という遺書を残して。

妻子の死を知った藤井少佐は、自らの指を切り、血ぞめの嘆願書を提出します。それが軍に認められ、特攻隊員として沖縄の海に散りました。

知覧特攻平和会館
当サイトは、鹿児島県南九州市にある知覧特攻平和会館の公式サイトです。大東亜戦争(戦後は太平洋戦争ともいう。)末期の沖縄戦において特攻という人類史上類のない作戦で、爆装した飛行機もろとも敵艦に体当たり攻撃をした陸軍特別攻撃隊員の遺品や関係資料を展示しています。

※ 藤井氏は、特攻による二階級昇進で死後「少佐」になっています。本来は「中尉」と表記するべきですが、「少佐」で統一しました。

あとがき

—家族のために生きていたい。

自分の命を軍の誰よりも惜しんだ宮部久蔵。彼も作中で、最期は同じ選択をします。そして教え子であった大石賢一郎が、宮部の家族と戦後を生きるのです。

この時代と、現代と。主役の宮部久蔵と孫にあたる佐伯健太郎は、同じ26歳の若者ですが、苦労がまるで違います。

ボロクソに叩かれた作品ですが、この作品から戦争に関心を持った人達は私を含めて多く居たはずです。

伝えたいことが明確ですし、読みやすい。特攻美化する傾向は否めないものの、多くの人に影響を与えた良い作品なんじゃないかと思います。

この本は、文学的な評価は低いかもしれません。文章の上手い人ではありませんが、百田尚樹という作家の情熱を感じます。

この他にも、有名なのは『海賊と呼ばれた男』ですが、私には『モンスター』が大変面白かったです。『永遠の0』とはまた違った色を見せてくれました。

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