個人の手記として楽しく気ままに書いています。
去年の夏休みに書きました。
語学の上達は、母国語のレベルと比例する
まだロシア語を学び始めたばかりの頃、先生から言われた言葉が印象に残りました。3級レベルの学習に差し掛かり、もっと教養を身に付けるべきと考え、本を買いました。
[rakuten:book:19455080:detail]「教養の教科書」言語の項目より
母語は、①思考言語能力、②日常会話能力、この2つで運用されています。
思考言語能力を高めよう
母語で思考するということは、当然、母語の影響を受けた考え方になります。そのため他の言語でコミュニケーションする際にはなかなか自分の考えを伝えることができません。しかし母語での思考能力を養い、相手に自分の考えをしっかり伝えることが出来る人は、他の言語でも上手に伝えられるようになります。母語できちんと考え発達させた思考言語能力は、言語を運用するうえでも活用されているのです。
たとえば、評論で用いられる表現は日常会話では用いられません。
具体的な何かを指すのではなく、抽象的な意味が広いので、そのような表現は物事を考える上で用いられます。これら抽象的での意味の広い言葉を運用する能力を、思考言語能力といいます。
生成文法と普遍文法
世間ではよく幼少期から語学教育をさせるべきと言われていますが、これは未だに仮説の領域であり、現在も研究されているそうです。幼児は「聞いた音」と「対象」を自由に結びつけることはなく、その音が「モノの名前を表す音」であると優先的に捉えるようバイアス(先入観)がかかります。似たような対象でもその「名前」で呼べるように全体的な形やおおざっぱな特徴を捉えるよう制約がなされているため、似た対象を名前で呼ぶことができ習得が早いようです。このような発見は「子どもは大人の話を聞いて覚える」という単純な考えをもっていては得られません。幼児の頭の中には言語を効率よく習得するメカニズム(生成文法)があるのではないかという前提が元になっています。
人は、どの言語にも普遍的に適用できる力(普遍文法)を生まれながらに備え持っており、「生成文法プログラム」に照らし合わせながら言葉を学習するため、文法を文法的に正しく学ぶことが出来るようです。しかし第二言語をきちんと習得するには文法の学習が必要となります。第二言語には思考言語能力が不可欠だからです。
戦後の語学教育
戦後の日本の語学(英語)教育では、文法の習得と文章読解を重視していたため、中学・高校と6年間勉強していても英語でコミュニケーションをとれない人ばかりでした。改定されて会話コミュニケーション学習を行う教育に変わっていきましたが、相変わらず日本人の多くは日常会話以上のコミュニケーションをとることが出来ず、文法的に正しく、かつ自分の考えをしっかり伝えることができるようにはなりませんでした。このように第二言語の習得は母語の習得とは異なるため、改めて文法教育の必要性が問われているのです。結論として、言語を学び始めるのに年齢は関係ありませんが、思考言語能力を鍛えずに日常会話以上のスキルを身につけることは出来ません。
思考言語能力と年齢
ロシア語学習の面白いところは、定年を過ぎてから学びに来られる方も多いことです。60歳を超えても正しく学習できる人はできるし、できない人はできないと伺いました。それは、思考言語能力の鍛え方に違いが出ているのではないでしょうか。
私の人生観
私はやると決めたらすぐに始める性格なので今がある訳ですけど、ぼんやり過ごして結局何も得られずに人生を終えてしまうことが怖くてならないのです。たとえ明日死んでも、やりたいと思ったことをやっている途中なのと、やろうと思って終わってしまったのと、人としての生き方は全く異なるのではないでしょうか。遠い道のりであっても、休まず歩き続ければ途中で倒れようとも悔いはない。しかし今、出発しなければ終わりまでにたどり着けないかもしれない、自分の人生を生き抜くにはどうするか、
恋い焦がれるロシアまでの道のりを、はじめは独学・自らの足で歩いて、そのうち短期講座を知って、バスに乗ったという感じでしょうか。本科に入って、私はまるでシベリア鉄道に乗りこんだような気持ちです。広くて深いロシアをたっぷり堪能しながら、人と触れ合い、楽しみ、気が付けば終着駅に居るのでしょう。
おわりに
人生とは、一日一日が、いわば死への旅路であると言えよう。生と死とは表裏一体。だから、生の準備はすなわち死の準備である。死を恐れるのは人間の本能である。だが、死を恐れるよりも、死の準備のないことを恐れた方がいい。人はいつも死に直面している。それだけに生は尊い。そしてそれだけに、与えられている生命を最大に生かさなければならないのである。それを考えるのがすなわち死の準備である。そしてそれが生の準備となるのである。(道をひらく 松下幸之助)